ムササビは日本にしかいないとよく言われますが、本当にムササビは日本にしかいないのでしょうか? 日本と同じような気候の国なら、ムササビがいても不思議ではありません。
また、ムササビとモモンガの違いがよくわからない人々も多いようです。
なぜ違いがわからないかというと、ムササビとモモンガを並べてみたことがないから、同じようなイメージを持ってしまうからのようです。
はたして、ムササビとモモンガ、どこがどう違うのでしょうか? その秘密は英語表記にありました。
ムササビは日本にしかいないは嘘とその生息地
ムササビの種類ホオジロムササビは日本の固有種であり、本州、四国、九州にしかいません。
- ニッコウムササビ
- ワカヤマムササビ
- キュウシュウムササビ
しかし、ムササビの種類は、ホオジロムササビだけではありません。
日本以外にもいるムササビの生息地
ムササビの仲間はアフガニスタン辺りからインドを経て東南アジア諸国、中国、朝鮮半島、日本のほか、フィンランドからロシアにかけて幅広く分布し、新世界では北アメリカからメキシコ、ホンジュラスなどにも分布していて、数多くの種が知られている。
→https://pz-garden.stardust31.com/gessi-moku/risu-biba-ka/musasabi.html
- カオジロムササビ
体調58センチもある大型種で、台湾、アッサム、ミャンマー、タイに生息しています。 - オオアカムササビ
アフガニスタン東部、パキスタン北部、バングラデシュ東部、インド東部、インドネシア - ホジソンムササビ
ブータン、ネパール、インドのシッキム地方、チベット自治区 - シロフムササビ
ヒマラヤ地方、中国、ミャンマー
ムササビとモモンガの違いは?
ムササビとモモンガの違いは、体長つまり大きさにあります。
英語表記をみますと、ムササビ=Giant flying squirrel、モモンガ=Flying squirrelです。Giantがついているのが、ムササビです。ムササビは、ふつうモモンガの2倍以上あります。
また、ムササビの頭部側面には、耳の直前から下アゴにかけて、非常に目立つ白い帯があります(ホオジロムササビの特徴)。しかし、モモンガにはありません。
- ムササビ(Giant flying squirrel)
体長27〜49cm、尾長28〜41cm、体重700〜1500g - モモンガ(Flying squirrel)
体長14〜20cm、尾長10〜14cm、体重150〜220g
ところで、もう一つの嘘? ムササビは飛べない!
ムササビは、飛べません。滑空しているだけなのです。よほど上昇気流があれば別ですが、上にはいけないのです。ただただ落ちるだけです。
たとえば、ニホンザルはムササビが飛んで攻撃してくる猛禽類と勘違いして、ムササビを襲うことがあります。ニホンザルも樹上を飛び回れますから、追われたムササビは地上へ地上へと追いやられます。
そして、地上に落ちたムササビはニホンザルに攻撃され、死んでしまうこともあります。しかし、ニホンザルは草食ですから、ムササビを食べません。
ムササビの生態
- ムササビは、ネズミ目(齧歯目)リス科リス亜科ムササビ属に属する哺乳類の一種です。
- ムササビは、冬眠はしません。
- 大木の樹の洞や人家の屋根裏などに巣を作ります。
- ムササビは夜行性で、樹上で生活しています。地上では、餌を食べません。食べ物はケヤキやカエデなどの若葉、種子、ドングリ、カキ、ツバキの花、樹皮などです。
- 長い前足と後足との間に飛膜と呼ばれる膜があり、飛膜を広げることでグライダーのように滑空します。なんと、120メートル以上の滑空が可能だそうです。
- 滑空時には、ふさふさした大きな尾は舵の役割を果たしています。
- メスは1ヘクタール程度の同性間のなわばりをもちます。
- オスは2ヘクタールほどの行動圏がありますが、なわばりは持ちません。
- 平均74日の妊娠期間を経て、春と秋に1、2匹の子を産みます。
- ムササビの天敵は、テンやイタチ、キツネ、フクロウやタカです。
まとめ
「ムササビは日本にしかいない」とよく言われますが、それはムササビのある種類ホオジロムササビを指しています。
ホオジロムササビ以外のムササビは中国や台湾をはじめ、東南アジア、インド、ネパール、ヒマラヤなどにも生息しています。
ムササビとモモンガの違いは、体長にあります。英語表記をみますと、ムササビ=Giant flying squirrel、モモンガ=Flying squirrelで、その違いがよくわかります。
でも、ムササビとモモンガは、どちらも可愛くて滑空しています。別々に想像していると、その大きさにあまり気づきませんね。